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375 名前：（名前は掃除されました）[sage] 投稿日：2010/12/14(火) 09:22:18 ID:qSRIg+fH
私は明治初期の貧しい農家に生まれた娘。

口減らしの為に街のお屋敷に奉公に出されたのだけど、夫の浮気で
毎日気分の優れない奥様、気まぐれで無慈悲なお嬢様達、ストレスの
溜まった先輩女中たちの嫌みに耐えて働くのは、それはつらいことでした。

ところがある日、買い物の帰りに足を滑らせて、長く急な河原を転げた私は
辺りの様子がすっかり変わってしまっていたことに気付いたのです。
　

　
そう、天狗の悪戯か仏様の導きか、私は、こ
の二十一世紀の世界に紛れ込んでしまったのです。
そして幸いにも、この時代のことなど何一つ見当のつかない私を、
この家の人が助けて家までつれて帰ってくれました。

昨夜は綿がふわふわに入った敷布団（もちろんそんな贅沢なものは
生まれてはじめてです）、信じられないほど手触りの良い毛布
そしてまるで羽が詰まっているように暖かで軽い掛け布団で眠ることが出来ました
（後で聞いてみたところ、本当に羽が詰まっているらしいです）。

そして、この家のご主人は、
「好きにしていていいよ」と告げて、お勤めに出かけて行きました。
あの人が帰ってくるまであと十時間。親切にしてくれた人の為に、
少し散らかったこの家を綺麗にしたいと思います。

広くて冷たいお屋敷の掃除に比べて、この狭い家の掃除はなんて楽なことでしょう。
井戸から汲み上げた冷たい水で、長い廊下を拭き上げなくてもいいのです。
このささやかな廊下を、長い棒の先についた素晴らしく汚れを集めてくれる
雑巾で拭き、蛇口を動かすだけで出てくる温かいお湯をバケツに汲み、暖かく
湿した雑巾で壁を拭き上げる

油汚れを信じられないほど簡単に落としてくれる、
魔法のような洗剤も沢山用意してあります。
狭いところに届く丈夫なタワシもいくらでもあります。

この家の人がつけていってくれたラジオという機械からは賑やかな音楽が流れ
貸してもらった洋式の服はとても動きやすいのです。

こんな環境で掃除が出来る私はまるでお姫様のようだと、私は思いました。
お昼にはこの家の人が用意してくれていった軽い容器に入った
饂飩のような物を食べる予定になっています。

この時代では、電気ポットという物が、いつでも熱いお湯を沸かしてくれているのです。
さあ、こんなに恵まれた環境を用意してもらったからには、きちんと働かないと罰が
当たります。

この家のご主人が帰ってくるまで、張り切って頑張ります。

　

なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか？
　
　

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