母ちゃんのカブ
2009 / 12 / 14 ( Mon ) バイクにまつわる泣けた話【7発目】
namidame.2ch.net/test/read.cgi/bike/1257207853/l50 285 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:44:17 ID:fPl/GTwK 1/8 10年前の事。僕が社会人になった年の秋の雨の日、母さんが48歳の 若さで亡くなった。病院に運ばれた時には既に全身に癌が転移していて 手の打ちようが無く、1ヶ月ともたなかった。僕が幼い頃に母さんは 僕を連れて父さんの元から出ていき、それ以来、母さんは女手ひとつで 僕を育ててくれた。自分の欲しい物は全て我慢し、高校、車の免許、 そして大学までも行かせてくれた。僕は大学を卒業後、地元の小さな 商社に就職し、少し貯えも出きてこれから親孝行をと思った矢先の事だった。 母さんは、少しばかりの貯金と大きな風よけの付いたスーパーカブを 置きみやげにして僕の見えない処へ旅立ってしまった。 287 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:45:10 ID:fPl/GTwK 2/8 母さんは、早朝は新聞配達、日中はプレス工場で現場作業をしながら僕を 育ててくれた。新聞屋のおじさんの厚意で「配達のバイトをしている間は 配達用のスーパーカブを自由に使っていいよ。」と、母さんに鍵を与え てくれた。そしてカブは僕らの住む市営住宅駐輪場の一員となった。 僕が小学校の高学年になり自転車に乗る事を覚えるまでは、母の仕事の 給料日になると、荷台に座布団を2つ折りにゴム紐で縛り付けて作った 即席タンデムシートに乗せられ、2km先のスーパーへすき焼きの具材と サイコロのキャラメルを買いに出かける事が月に一度のささやかな贅沢で あり、楽しいツーリングだった。(今思えば50ccの二人乗りだったけど) 当時の母さんは僕が少しの微熱でも出そうものなら背中におんぶ紐で グルグル巻きに縛り付け 「たかし、もうすぐお医者さんだからね、がんばられ!」 と、即席タンデムシートに乗せられ病院へ連れていってくれた。 自分はどんなに熱を出して咳き込んでいても病院に行かなかったくせに。 288 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:45:59 ID:fPl/GTwK 3/8 僕が就職した年の夏の終わり頃に、母さんが仕事先で倒れ、市内で一番 大きな病院に入院した。医者には 「どうして、こんなになるまで放って置いたんですか!」と怒られて しまった。ずっと我慢していたのは母さんらしかったが、それが手遅れ になった原因となってしまった。しかも母さんは、お金が掛かるからと まともな治療を受けようとはしなかった。 母さんの見舞いは仕事帰りに毎日行ったが、2週間目には、貯金を全て 僕の口座へ移すこと、困った時にはおじさん(母の弟)に頼ること、 嫁さんを見つけて幸せになること。を告げ、そして、二人きりの生活を始めて からは一切口にする事がなかった父親の連絡先を教えてくれた。まるで 自分の死期を悟っているみたいだった。 「俺、もう帰るね。」 病室を出ようとすると何かを手渡された。ハンカチを縫い合わせた 母さん手作りのお守りだった。母さんは精一杯の切ない笑顔を作っていた。 「これは、たかしが困った時に開けて読んでみなさい。」 僕は黙ってそれをポケットに押し込み、涙がこぼれない様に駆け足で 病室を後にした。 その一週間後に母さんは帰らぬ人となった。 289 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:46:56 ID:fPl/GTwK 4/8 慌ただしく葬儀が終わり職場へ復帰した僕は悲しみを忘れるため仕事に打ち込んだ。 そしてバス通勤を止め、母さんが毎朝運転していたカブに乗って出社した。 (カブは新聞屋のおじさんが形見にと譲ってくれた。) 今やこのカブだけが僕の家族であり、心の支えとなっていた。 新規契約が取れる度に、カブに話しかけ、丁寧に磨いた。母さんをいたわる様に。 ある日の仕事帰りのこと。 僕はいつもの帰り道をいつもの様にカブに乗って帰っていた。自宅まで 3百メートルのガソリンスタンドのある交差点。いつもの様に真っ直ぐ 抜けるはずだったが、何か違和感を感じた。すると左から急激に向かって 来る白い乗用車が視界に入った。 「あれ?信号はこっちが青だろ?」 考えが追いつかないまま強烈な衝撃に襲われると同時に、冷たいプールに 飛び込んだかの様に息が止まった。はね飛ばされた僕はアスファルトの 上を滑りながら深い暗闇の中に吸い込まれていってしまった。 「このまま、死ぬんかな、、、母さん、もうすぐ逢えるね、、、、、。」 290 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:47:58 ID:fPl/GTwK 5/8 僕は多分夢を見ていたんだと思う。いつか見た光景だった。あたたかく 柔らかい背中にしがみつきながら懐かしい声をぼんやりと聞いていた。 「、、かし、、たかし、もうすぐ、お医者さんだからね、がんばられ!、、、、、」 「たかし、たかし、もうすぐ、お医者さんだからね、がんばられ!」 顔は見えないが、間違いなく母さんだった。僕は強くしがみついた。 「母さんなの?俺、もう大丈夫だよ!今まで何処に行っていたの?」 「母さん、今日、部長に褒められたよ。期待の新人だってさ。」 「母さん、初任給でこれ買ったんだけど母さんに似合うかな?」 「母ちゃん、晩ご飯はカレーにしてよ。お肉、高いから入れなくていいよ。」 「母ちゃん、今度の授業参観は来れるの?どうして泣いているの?」 「ねぇ、聞いてる?ねぇ、かあちゃん、かあちゃん、、、ちゃ、、、、。」 目を覚ますと僕は病院の集中治療室のベッドにいた。 291 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:49:10 ID:fPl/GTwK 6/8 意識が戻ってしまえば、奇跡的に軽い打撲と擦り傷で済んだ事を医者に 驚かれた。念のため2日入院したが、その間に会社の上司や同僚らが見舞い に来た。加害者側のサラリーマンは一度だけ顔を見せた後は保険屋が代わりに 事務的な手続きをしに来ただけだった。 退院後に警察に呼ばれたので所轄署へ行くと、簡単な聴取とカブの引き取り の依頼をされた。母さんのカブは変わり果てていた。まるで僕の身代わりに なった様にボロボロになっていた。まるで僕を育てた引き替えにボロボロに なった母さんそのものだった。 僕は母さんを2度失ってしまった。 292 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:49:58 ID:fPl/GTwK 7/8 退院してからも僕はしばらく会社を休んだ。行く気になれなかった。 壊れたカブは事故相手の保険屋が新品に交換すると言ってきたが、断った。 もう、どうでもよくなってしまっていた。このまま消えても誰も悲しまない。 自殺しても構わなかったが、それすらも面倒なだけだった。 流石に1週間が過ぎた頃には会社の部長が訪ねて来たが、生返事だけして 帰ってもらった。部長は帰り際に「困った事があったら相談しなさい。」 と自宅の住所と電話番号のメモを渡してくれた。 メモを仕舞おうと電話台の引き出しを開けると、母さんが入院中にくれた お守りが目にはいった。ハンカチを切って縫い合わせたお守りの中には小さな 手紙が入っていた。 あの日の病室、あの日の母さんの切ない笑顔を思い出した。 293 名前: 母ちゃんのカブ [sage] 投稿日: 2009/12/13(日) 21:51:06 ID:fPl/GTwK 8/8 お守りの中の手紙にはこう書かれてあった。 「たかしへ、母さんは先に天国へ行くけどごめんね。でも母さんは消えて しまった訳ではありませんよ。たかしが母さんを思い出した時には、 母さんは必ず、たかしのそばにいて、応援してますよ。だから、がんばれ!」 ずいぶん無断欠勤をしたにも関わらず、会社の皆は優しく迎えてくれた。 僕が立ち直ってからのこの10年は、 仕事や結婚、育児など、慌ただしく過ぎ去ってしまった。 そして不景気のお陰でほんの少しだけ時間の余裕が出来た今、2輪免許を 取得しに自動車学校に通っている。バイクに乗ることは妻に反対されたが、 免許を取ってもバイクを買わない、乗らない。この2つを条件に押し切った。 皆さんは不思議がるだろうが、僕は正式にバイクに2人乗りができる資格 だけで良いのです。 いつしか僕が年老いて、この世を去り、母さんへ逢いに行った時、母さんと 二人で雲の上でもツーリングしようかなと。そのための免許。 もちろん、タンデムシートには母さんを乗せて。 |
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・俺のクロッキーに「うまいやん」って声をかけてくれた
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