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おれの心の中で
2007 / 08 / 19 ( Sun )
【あの日の】涙が出るほどいい話【想い出】3.0
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1171696365/l50

289名前: 1/2投稿日: 2007/08/16(木) 04:21:21 0

その社長の会社は、おれが勤めていた会社の所謂「外注」だった。
何年か後、おれは勤めていた会社を辞め、ふらふらしてたんだが、
社長は「うちの会社で働け」と言ってくれた。

紆余曲折あって、おれは結局その社長の会社へご厄介になる事になった。
椅子にふんぞりかえっている社長ではなく、自分から高所作業したり、
とにかく自分から汗をかく人だった。
 
 
 
その社長の会社が倒産した。
社長は涙ながらに、社員全員に謝罪していた。
おれはその時、自分の行く末が不安だった。
だから、泣けなかった。

社長が長年患っていた病気が悪化し緊急入院した時も、
身体の痛みに耐えかね、ウンウン唸っている社長を見た時も
その悲惨さが先に立ち、涙は出なかった。

290名前: 2/2投稿日: 2007/08/16(木) 04:22:58 0
その何日か後、社長は亡くなった。59歳だった。

火葬場に行く前に遺族の方々が、棺桶にゆかりの品を入れていた時。
社長の奥さんが、「○○ちゃん、これ入れてやって」と、おれに
布切れみたいなのを手渡した。

それは、社長が現場に行く時に、必ずかぶっていた帽子。
くたびれてて、糸も解れてる、ボロボロの帽子。

「あぁーこれかぶってたねー、いつも…」

懐かしく微笑んだつもりが、涙が頬を伝った。
おれは人目を憚らず、泣いた。


今おれは、個人営業だけど社長と同じ仕事してる。

社長、人を使うのって難しいな。
おれはちゃんと仕事できてるかな。

社長の会社も家も、身体も、この世から無くなっちまったけど、
あんたの意志は、おれの心の中で活き続けるから。
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